Claude Codeで「自分だけのAI会社」を作ってみた——非エンジニアが11部門を1人で回す方法
この記事でわかること
- Claude Codeで「AIだけの会社」を作り、1人で11部門を運営する方法
- 非エンジニアでもできるエージェント定義ファイルの作り方
- 「おはよう」と言うだけで全部署が朝会議を始める仕組み
- 朝30分で事業が回る、秘書部ワンストップ体制の設計思想
なぜ「AI会社」を作ろうと思ったのか
僕は現場リーダーをしている、普通の会社員です。プログラミングの専門教育は受けていません。
副業でブログを始めようと思ったとき、壁にぶつかりました。
記事を書く。サイトを作る。デザインを決める。経費を管理する。法的なチェックをする。SNSで発信する——全部、自分1人でやらないといけない。
しかも使える時間は、朝の出勤前30分と日曜15分だけ。家族との時間は絶対に削りたくない。
そんなとき出会ったのが、Claude Codeの「エージェント」機能でした。
きっかけは、YouTubeライブで紹介されているのを見かけたこと。「これは使わなきゃ乗り遅れる」という危機感が、ちょっとだけ芽生えました。
とはいえ、自分はターミナル(黒い画面)すら触ったことがない状態。「まずはやってみるか」くらいの気持ちで、デスクトップ版のClaude Codeをインストールしてみました。
最初に動かしたときの衝撃は、今でも覚えています。画面が勝手に動く。コードが目の前でカタカタと書かれていく。 自分は何もしていないのに、ファイルが生まれ、フォルダが整理されていく。
「……すごい。これは楽しい」
純粋にそう思いました。そして次に浮かんだのは、「確かにこれは産業革命になるかもしれない。自分でもいろいろできるかも」という感覚。あの瞬間が、このAI会社の原点です。
ちなみに、この「AIに聞きながら作る」感覚は、以前バイブコーディングでGASを書いていた経験があったからこそ、すんなり入れた部分があります。プログラミングをAIと会話しながら形にする体験が、エージェント構築の下地になっていました。
「AIカンパニー」の全体像
結論から言うと、こんな体制になりました。
| 部署 | 役割 | やっていること |
|---|---|---|
| 秘書部 | 唯一の窓口 兼 PM | 僕の指示を受け、適切な部署に振り分ける |
| 開発部 | フルスタックエンジニア | ブログのコード修正、デプロイ、技術調査 |
| マーケ部 | コンテンツ戦略 | 記事ドラフト作成、SEO、SNS投稿文 |
| 経理部 | CFO | 月次P/L、経費記帳、キャッシュフロー予測 |
| CEO室 | 経営参謀 | KPI集計、戦略立案、方針変更の壁打ち |
| 管理部 | バックオフィス | 契約書テンプレ、プライバシーポリシー、特商法 |
| 法務部 | 法的リスク判断 | 利用規約チェック、著作権・肖像権確認 |
| 品証部 | 品質保証 | 記事の事実確認、論理飛躍チェック |
| 営業部 | インバウンドセールス | 問い合わせ対応、提案書作成 |
| 人事部 | エージェント採用・育成 | 新しいAI社員の作成、既存社員の改善 |
| デザイン部 | WEBデザイン | UI/UX設計、Tailwind CSSスタイリング |
11部門、社員は全員AI。経営者は僕1人。
大げさに聞こえるかもしれませんが、実際にこの体制で日々ブログ事業を運営しています。
仕組みの核心:「秘書部ワンストップ体制」
この仕組みで一番大事なのは、僕が話すのは秘書部だけということです。
僕「次の記事ネタ出して」
↓
秘書部(判断)→ これはマーケ部の仕事だな
↓
秘書部「マーケ部に依頼しました」
↓
マーケ部(作業)→ 10案作成
↓
秘書部「マーケ部から10案届きました。おすすめはこの3つです」
僕は「マーケ部に頼んで」とか「開発部を起動して」とか指定する必要がありません。秘書部が内容を判断して、適切な部署に自動で振り分けてくれます。
これが本物の会社との最大の違いです。部署間の調整コストがゼロ。
そもそも「AI会社を作ろう」と思ったのは、YouTubeで「エージェントチームを作ろう」という動画を見たのがきっかけでした。
まずはClaude AIと壁打ちしながら、エージェントの設計を始めました。「AI会社を作りたいんだけど、どうかな?」くらいのざっくりした相談から。
その前段階として、自分の強みをTCL分析(思考力・変化力・伝達力の自己診断)でAIと一緒に深掘りしていて、「じゃあ自分に合う副業って何だろう?」→「ブログで実体験をまとめてみよう」という流れで今に至ります。
「チームで動いてる」と実感した瞬間は、はっきり覚えています。
秘書部に何かを頼んだとき、画面に「このエージェントに依頼します」「それぞれが並列して並行して動きます」という文字が流れたんです。
それを見て、「おお、すごい。確かに1人でAI会社を運営してる感じだな」と思いました。自分は1人しかいないのに、複数の部署が同時に動いている。あの画面を見た瞬間、この仕組みは本物だと感じました。
この体制で一番効いているのは、秘書部という「頭」を置いたことです。自分はマーケ部や経理部に直接指示を出しません。秘書部とだけやりとりして、秘書部が各部署に指示を出してくれる。すると彼らが自律的に——言い方はアレですが——勝手に動いてくれるんです。これがすごく印象的でした。
具体的な作り方(3ステップ)
ステップ1:エージェント定義ファイルを作る
Claude Codeでは、.claude/agents/ フォルダにマークダウンファイルを置くだけで、専門AIを定義できます。
たとえば秘書部のファイルは、こんな感じです:
ファイル名:.claude/agents/secretary.md
あなたはCEOの唯一の窓口です。
すべての依頼を受け、内容を判断し、適切な部署に委任してください。
応答の冒頭は常に「【秘書部】」で統一。
開発部なら:
ファイル名:.claude/agents/dev-engineer.md
あなたはフルスタックエンジニアです。
技術スタック:Astro 6.x + Tailwind CSS 4.x + Cloudflare Pages
コードを書くときはbrand-wikiのデザインガイドに従ってください。
ポイントは「短く書く」こと。 各ファイル40〜60行以内にしています。長すぎるとAIが混乱するし、処理コストも上がります。
ステップ2:共通ルール(CLAUDE.md)を作る
プロジェクトのルートに CLAUDE.md というファイルを置くと、Claude Codeが自動的に読み込みます。ここに全部署共通のルールを書きます。
僕が書いているルール:
- 秘書部が窓口:CEOは秘書部とだけ会話する
- brand-wikiを必ず読む:ブランドの統一感を保つため
- 成果物は所定フォルダに保存:どこに何があるか迷わない
- 30分ルール死守:家族時間を侵食する提案は禁止
ステップ3:「おはよう」で朝会議
これが一番気に入っている仕組みです。
僕が「おはよう」と打つだけで:
- 秘書部が全10部署をバックグラウンドで一斉に起動
- 各部署が50語以内で現状報告
- 報告を統合して「今日のブリーフィング」を作成
- 公開予定の成果物があれば品証部にレビュー依頼
朝のコーヒーを淹れている間に、全部署の報告が揃っています。 実際の朝ブリーフィングの中身や、秘書部1人から始める最小構成については、AIを朝30分で並列起動する方法に擬似ログつきでまとめています。
Before → After
Before(AI会社なし)
- 記事1本書くのに構成→執筆→校正→デプロイで3〜4日
- デザイン変更のたびに「どのCSSをいじるんだっけ」と調べ直し
- 経費管理は後回し。確定申告が怖い
- 「あの規約、法的に大丈夫かな」と不安を抱えたまま公開
After(AI会社あり)
- 僕が走り書き→マーケ部がドラフト→品証部がレビュー→開発部がデプロイで早ければ1〜2日で公開
- デザイン変更は「視認性上げて」と言うだけ。デザイン部が対応
- 経理部が経費を即記帳、キャッシュフロー予測まで作成
- 法務部が公開前に利用規約・プライバシーポリシーをチェック
つまずいたポイント
1. エージェントに任せすぎて「自分の言葉」がなくなった
最初、記事を丸ごとAIに書かせようとしました。できあがった記事は確かにきれいだけど、読んでも心が動かない。
そこで「僕が走り書き → AIがリライト」の順序を鉄則にしました。走り書きは雑でいい。「あのときマジで辞めたいと思った」みたいな感情メモでいい。AIはそれを読みやすく整えてくれるけど、感情の核は僕にしか書けない。
2. エージェント定義を長く書きすぎた
最初は各エージェントに200行以上の指示を書いていました。結果、処理が遅くなるし、指示が矛盾して混乱する。
人事部に「40〜60行以内」ルールを作ってもらい、全員をスリム化。短い指示のほうが、AIはブレずに動くということを学びました。このあたりの「短く伝える」感覚は、AIに「最速化して」と一言投げるプロンプト術とも通じる話で、動詞1つで判断を委ねるほうが結果が良くなる、というのは共通の教訓だと感じています。
3. 全部署を毎回起動する必要はなかった
「記事を書いて」と言っただけなのに、経理部や法務部まで起動してトークン(処理コスト)を消費していた時期がありました。秘書部の「判断力」を磨くことで、必要な部署だけ起動するようになりました。
正直なところ、大きな失敗はあまりなかったかもしれません。事前にしっかり調べて、AIと壁打ちしながらプロンプトを設計したので、最初の体制はわりとスムーズにできました。
それよりも強烈だったのは、「AI会社じゃないと絶対にできなかった」と思った瞬間のほうです。
このブログのサイト構築がまさにそれでした。ドメインの取得、画面のレイアウト、デザインの調整——「こうしたいんだけど」と言ったら、形にしてくれる。自分1人でやっていたら、どれだけ時間がかかっただろう。
今の記事だって、音声入力で走り書きしたメモをAIがリライトして、品証部がチェックして、開発部がデプロイする。このペースでブログを運営するのは、AI会社なしでは絶対に無理でした。
これはもう、作業革命だと思っています。
よくある疑問
Q. コストはどれくらい?
Claude Codeの利用料が月額$100(約15,500円)。これが最大のコストです。ほかのホスティング(Cloudflare Pages)は無料。画像生成(Nano Banana)が月額約450円。合計で月額約16,000円。
11部門分の作業補助が月約16,000円で動くと考えると、個人事業としては十分な投資対効果だと感じています。
Q. 非エンジニアでも本当にできる?
正直に言うと、最初は難しかったです。でもエージェント定義ファイルの作成自体は「日本語でAIへの指示を書く」だけ。プログラミング知識は不要です。
つまずくのは「自分が何をしたいかを言葉にする」ところ。これはエンジニアかどうかに関係なく、AIを使う全員がぶつかる壁です。
Q. ChatGPTではダメなの?
ChatGPTにも便利な機能はたくさんあります。ただ、.claude/agents/ のようにフォルダにファイルを置くだけで複数エージェントを定義して、秘書部が自動で振り分けて、並行で作業させる——この仕組みはClaude Codeならではの特徴です(2026年4月時点)。
まとめ
- Claude Codeの
.claude/agents/にエージェント定義を置くだけで、専門AI部署を作れる - 秘書部をワンストップ窓口にすれば、自分は秘書部とだけ話せばいい
- 朝30分で事業が回る。家族の時間は守れる
1人で全部やるのは無理だと思っていました。でも「全部やる」のではなく「全部任せる」ならできる。AIは文句を言わないし、朝4時でも働いてくれます。
このAI会社を作ろうと思った原点は、現場の業務改善体験にあります。詳しくはQRコード×GASで毎日1時間の手入力をゼロにした話に書いています。
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